1)教科・単元名
小学校 5年生 図画工作 「光のパレード」分類B
2)学びの目的(指導目標)
- SPRK+のライト機能を活かして、動く光の造形物をグループで考える。
- SPAK+を動かすコースを考え、プログラミングによってコースをクリアしたり、楽しい動きになるよう工夫したりする。
- それぞれのグループで作られた「光のパレード」を撮影し、映像作品にする。
3)指導計画・指導時間
5単位(40分授業 1コマ レクチャー・2コマ × 2回 制作時間)
4)授業構想
- SPAK+はプログラミングされた動きを再現するロボットであると同時に、ライト機能があり、様々な色の光を発することができる。
この2つの機能を活かして、光を透過する材料でSPAK+を飾ることができれば、遊園地の夜のアトラクションの「光のパレード」のようなものができるのでは?と考えた。 - グループでパレードを作り上げるため、どんなパレードにするかをみんなで考え共有したあと、光の造形物制作チーム、プログラミング制作チーム、コース制作チーム、映像撮影チームなど、役割分担して活動を進めた。プログラミングを全員にしっかりと教えることを授業の目的とせず、あくまで「動き」というものを担当する1つの部署の扱いであったが、「動き」と「造形」を連携させていくことで、子どもたち同時がコミュニケーションをとり、自らが学んでいく機会となればいいと考えた。
4)授業の概要
生徒に学んで欲しい、プログラミングの考え方
SPAK+は「1班で1台」(4、5人で1台)の台数を確保。(充電切れもあるので予備機もあり)タブレットはグループで2台。(プログラミング用1台 撮影用1台)
この課題は図画工作で初めてロボットを用いた授業となった。
よってロボットを使った授業の可能性を感じ、楽しんでもらうことが、次の段階へと結びつくきっかけになると考えていた。プログラミングを学ばせるというより「体験してもらう」段階として考えた。
よってSPAK+を使った光の造形物を作ることが活動のメインとした。SPRK+の動きはプログラミングだけで動かすことを目標としたが、難しければ使わなくてもリモートコントロールでもいいとした。(結果としてほとんどプログラミングを使うことになったが)
最終的にロボットの動く様子を子どもたちが撮影した映像作品となった。
プログラミングの有効性は、動きのパターンを「固定化」し「繰り返しことなうことができる」ことである。作られたコースを安定して走行したり、コースに合わせて動きを小修正したり、複数の動きや光のパターンを組み合わせたりすることができるため、結果的に動きをプログラムするグループが多かった。
(動かすだけならばリモートコントロールで簡単に動かすことはできる。しかし、それは操作する人によって毎回変わってしまうので、安定した動きを生み出すことはできない。操作ミスも生まれてきて、「操縦者」のスキルに頼ってしまうことにもなる。動きを工夫するのでなく、コースも毎回変化させる必要も出てくる。)
プログラミング体験の概要
プログラミングの基本的な作り方(ブロックを繋げるように命令を連動させていくこと)を教えた後は、子どもたちが自発的に様々な動きを試行錯誤して学んでいった。
より複雑な動き(色の連動、縦回転のジャンプ)なども操作しながら学んでいき、それらを発見した班と情報共有してプログラムの幅を広げていった。
それぞれの班ごとに目的が異なるので、その目的によってプログラミングも造形物もコースも変わっていた。
「猫とネズミ」
光の造形物を具体的な形にした班。コースには凝らずに、「逃げる動き」に焦点を当てた。スピード感ある動きのプログラムを組んだ。
「抽象的な光の造形物」
抽象的な光の造形物を制作した班は、動きもおもしろいものを求めた。ジャンプ機能と光の変更を組み合わせて、「虫のような生き物の動き」のようなプログラムを組んでいた。
「オリジナルコースをクリアする」
SPAK+に造形物をつけずに、コースをクリアするおもしろさを追求した班。サーキットのようなコースや、迷路のようなコースなど、それぞれの班ごとにクリアされる条件が変わってくるため、それを相談しながら工夫していった。
授業の流れとSphero Eduの使い方
3回の授業 1コマ+2コマ+2コマ 計5コマ(5単位)
時間 | 活動内容 | 留意事項 |
---|---|---|
0:40 (1コマ) |
レクチャー SPAK+の設定方法、プログラミングの基礎を学ぶ 全員がまずプログラミング体験をし、どのような操作方法で動きが伝わるかを理解する。 |
・タブレット端末とSPAK+の接続を確認する必要がある(ペアリングさせたら色を変えて確認する) ・SPAK+を落下させないような場の設定が必要となった。(床面を使う ガードレールを作る) |
0:40 (1コマ) |
グループごとに「光のパレード」をどのようなものにするかを相談する。 プログラミングを作る人、光の造形物を作る人、コースを作る人など、グループごとに役割分担を決めて制作を開始した。 |
・造形は大量にあったストローを中心に利用した。光を透過させる素材であると同時に、柱やコースなどの様々な使い方ができる素材であった。 (材料 ストロー、モール、セロテープ) |
0:80 (2コマ) |
造形物、コース、プログラミングの連動をそれぞれの班ごとに試行錯誤しながら作っていった。 LEDライトもコースの要素として追加した |
・図工室の机にガードレールをつけて落下防止の環境にした。 ・連続使用が2時間を超えられないので、2クラスいる場合は、充電時間を考える必要があった。 |
0:40 (1コマ) |
図工室を暗くして、撮影タイムとした。 グループごとに相談して作った「光のパレード」を撮影用タブレットで動画撮影した。 |
教室を暗室化した 撮影した動画をWEBにアップすることを目的にしたため、顔などが写らないように注意した。 |
6)ワークシート
無し
7)留意点
- SPAK+は1グループで1台。全員がプログラマーとなって動きを考えプログラミングを体験できればいいが、全員が行うのはプログラミング体験程度。しかし、自由度が高い課題なので、グループの中で出来る子を中心により複雑な動きのプログラムを共有することができる。ベーシックを教えるというより、子どもたちの中で学びが広がっていった授業となる。
- 連続使用が長くなってしまうため、バッテリーがもたないことがある。予備機も用意しておくが、この授業では充電時間を考慮した。1クラスが「1、2時間目」に活動をしたら、別のクラスは「5、6時間目」に授業を行い、その間は充電時間とした。
そうしたところ思った以上に稼働し、2コマ(90分)の授業使っても大丈夫だった。 - 落下にも非常に強いSPRK+であり、教室の床に間違って落としてしまっても壊れることはなかった。しかし、床面を利用したり、机上で行うときにはまずガードレールを作るなど工夫をした。