プログラミング教育の手引き(第1版)では分類Bに該当する「学習指導要領に例示はされてはいないが、学習指導要領の示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの」として、国語の授業を実施しました。
小学校国語6年生の「やまなし」を題材にしてプログラミングの授業を行いました。宮沢賢治のファンタジー文学である本作品は、その言葉の響きや独特の情景描写からとても難解な作品と言われています。本授業では、すでに学習を一通り終えている児童を対象に実施しました。「よくわからなかった」と言う児童の感想からもわかるように、その世界観の全てを理解することはできてないませんが、理解の鍵となる色や動きの動作に着目し、それをSPRK+を使って表現することにしました。
はじめに、文章の中から光と動きが描かれているものを抜粋し、順番に音読しました。その音読をタブレット端末に録音し、自分たちの読んだ場面にぴったりなBGMをタブレット端末の音楽作成アプリを使って作曲します。そして個で作成した音源を一つにつなぎ、物語の世界を音で表現します。その場面で出てくる情景をSPRK+を使ってどう表現するかを計画し、プログラムを作成します。
出来上がったプログラムは事前に作った音と組み合わせ、タイミングよく動かします。それをグループで連動させ、一つの作品を表現しました。
SPRK+の様々な動きや色を操り、教科書の記述を追いながら作成する様子は子どもたちの感性を刺激し、より深い読み取りにつなげることができました。
SPRK+の色と動きの組み合わせを使い、表現活動に生かすことは子どもたちにとっても楽しく、さらに深い文章記述の理解を促すことにつながりました。
1)教科・単元名
小学校6年 国語 「やまなし」の情景をSPRK+で表現しよう」2時間完了 分類B
2)学びの目的(指導目標)
「やまなし」の情景を読み取り、SPRK+を使って動きと光で表現することでより深く理解する
3)生徒に学んで欲しい、プログラミングの考え方
この学習は「やまなし」という難解な文学教材のより深い読み取りを実現するのプログラミングの取組みです。子どもたちは、登場するものの動きや色に着目し、プログラミングし、表現することを通してさらに文章事実に戻り、深い読みにつなげる取組です。
もう一つは、チームで一つの場面を音読し、作曲し、プログラムすることによって、全体像が明らかにされ、その過程でディスカッションし、協働しながら進めることができます。その中で多様性を認め、チームで解決し、一つの作品に仕上げることが目的です。
4)授業の概要
動きと色の表現があるところを探して音読を録音、その場面に合うように作曲し、音源をつなぐ。場面に応じてSPRK+を動かす設計図を書き、それに合うようにプログラムを組む。全体が出来上がったら音と合わせて表現する。
5)授業の流れとSphero Eduの使い方
1時間目
時間 | 活動内容 | 留意事項 |
---|---|---|
0:00 | 「やまなし」で学んだことを振り返り、動きと色のある記述を探す | 動きと色に着目し、適切な場面を選択する |
0:10 | 読む場所を練習し、音読を録音する | ゆっくり、はっきり読むようにする |
0:25 | 使い方を説明し、音読した場面にぴったりの音をつける | GarageBandを使って作曲する |
0:40 | できた音源を聴きあって、AirDropで送信、一つの音源にする |
2時間目
時間 | 活動内容 | 留意事項 |
---|---|---|
0:00 | 音を聞いてイメージを膨らませ、計画を立てる | 声や音の感じに合わせた動きや色を考える |
0:10 | プログラムの作り方を学ぶ | SpheroEduを使ったプログラムの作成方法を教える |
0:20 | 計画に合わせてプログラムを作成する | つまずいている子どもの作成を支援する |
0:35 | 音源を流しながら、プログラムを実行するタイミングを練習し、修正を行う | 様子を撮影し、見せながら修正していく |
0:40 | 音に合わせて全員で発表する | タイミングよくプログラムを実行するように支援する |
6)ワークシート
場面の抜き出し、音のイメージ化、プログラムの計画を立てる際にワークシートがあると良い
7)留意点
- 個別に作成した音源をつないで一つにする環境や、それを確かめられる大型モニターが必要
- できたプログラムを再生し、調整するための環境の準備
- 発表のための場作りが必要